お料理と同じ、そのひとてまが美味しさの秘密。お花も活ける前のひとてまを心がけています。例えば鶏頭(ケイトウ)の花には種がたくさんついています。このままだとなんだかぼってりしているので、種を削ってみると、シャープなケイトウに生まれ変わった感じ。実際にいけてみたら見えないかもしれないけど、全体の仕上がりが変わるものです。前にケイトウの生産農家さんのところに見学に行ったことがありました。その生産農家さんは種をしっかりとる手間を完璧にして出荷されている農家さんで、花屋でひときわ美しく輝きを放っていたので是非見学させてほしいと頼んでいったのですが、収穫したケイトウを手入れする納屋をのぞいたら…なんとケイトウが一本一本お布団の上に丁寧に並べられていたのです。それはすでにケイトウではなく鶏頭さんと呼びたくなるような気持になって、私はここでクオリティというものを勉強させていただいた気がします。その『ひとてま』が花であれば美しく、料理であれば美味しいものになって人を感動させられるんだなぁと。
ひとてま
約2分